2022年夏、かくして二人展は開催された
開催期間は約一週間あるので幽幻さんとコメダコーヒーに行ってシロノワール食べたり、接客したり、だらだらしたりした
三日目あたりだったか、グリシーヌオーナーの涼子さんが不思議な事を言った
「昨晩ね、食事から帰って来て鍋倉山を見たら山の上の方に五つくらい光があったの」
「一緒にいた人にほらあそこ! と指さしても全然見えてないようで・・・山の上に電灯なんてあったかなあ」
オープニングパーティーの時に夜登ったけど電灯は点いていなくて皆でスマホの灯りで登った記憶がある
「というわけで、山の様子をエリちゃん見に行ってきて!」
とチヅルさんと涼子さんにミッションをもらい、客足の途切れた二人展三日目に鍋倉山に向かった
やはり夏だから草の勢いがすごい
山のメインの神社、「宮地嶽神社」の鳥居をくぐりお社へと進む
お社の前で手を合わせる
すると、
「ロロロロロ・・・」
音が右上から聞こえてきた
ろろろ・・・?
ってなに・・・?
「ロが三つだ」
音の次はこんな映像が浮かんだ
手を合わせたまま
「ロが三つってなんでしょう・・・?」
と聞いてみた
「あの者に言えばわかる」
わかりました伝えます
と心の中で約束をして帰る事にした
本当は右側にある権現様と呼ばれている小さなお社や、その下の方にある木が気になったのだけど草が生い茂り行けなかった
鳥居を抜けた帰り際にトカゲ頭の女の人の気配がした
気配がする左側を見ると、そこだけ平らな空間があった
ここでずっとずっと昔にトカゲ頭の女の人がたった一人で何か祭祀をしていた
そんなイメージが浮かんだ
そしてその人はチヅルさんのずっと前の前世な気がした
グリシーヌに戻ってカフェコーナーで仕込みをしているチヅルさんに早速報告した
「あの、ロが三つだそうです」
「ロが三つぅー?!」
私はたった今自分が見えた事感じた事を話した
「で、あの者に言えばわかると言われまして・・・」
「うーんもうちょっとヒント欲しいよねえ」
と苦笑するチヅルさん
確かに・・私もそう思います・・・
とその時は思った
その日の夕ご飯は幽弦さんと宇部の美味しいお刺身とお酒で酒盛りをした
展示するアーティストは病院跡地のギャラリーの別フロアの部屋で宿泊ができるのだ
チヅルさんは同じフロアに部屋を持っていた
宿泊者共有のキッチンダイニングがあり、そこで幽弦さんといた時だった
「ロロロわかったー!!」
とチヅルさんがダイニングのドアをバーンと開けて入ってきた
いつも仕事後に自分の部屋に入ると全く物音を立てないチヅルさんが・・・
異次元に行ってるんじゃないかと噂が立つほど静かなチヅルさんが・・・
「ロロロ・・・わかったんですか?」
まあまあ、私もお酒もらおうかなとチヅルさんは椅子に座った
手には昨日見せてもらった数霊(かずたま)の本を抱えていた
数霊というのはどうも物事の名前をカタカナにしてさらに数字に変換、その合計数でキーワードや属性がわかるみたいな事らしい
ヤマグスエリとヤマクスエリだと数字が違ってきてね・・・と説明してもらっていた(ごめん忘れた)
お酒を一口飲んだチヅルさんは、間をおいて言った
「ロは42 、ロが三つで126、126はチヅルと一緒なの」
神様、神様のような存在はその人に一番わかりやすい方法で伝えるんじゃないかなと思っている
つまり
「チヅルの山になっているよ」
と伝えたいのだと思った
チヅルさんからは榊を植えたくらいしか聞いてなかったけど、様子が変わっているのは明らかだった
それを伝える者が来たので、当人にわかりやすい方法でサインを送った
それをチヅルさんは見事に読み解いたのだ
因みにチヅルさんのつむじは前髪の辺りに三つある
ちょうど先ほどの図のように・・・
この話まだまだつづくよー(あ、電灯は宮地獄お社そばにありました ただし一つだけ・・・)