二見の日の出
結局30分程しか目を閉じる事が出来なかったけれど、私も先輩霊能者Yさんもなんだか妙にテンションが高かった
昨晩の魔法陣の興奮がなかなか冷めない感じだった
Jさんは数時間眠れたようだけれど、体調が良くなさそうだった
その人と接して、更にその人の後ろを視るとより深くその人を理解できる
Jさんは今内部から変わろうとしていた
変わる時は体調が悪くなったりする
私達三人はもぞもぞと起き出して着替えて、二見興玉神社に向かった
鳥居をくぐるとすでに沢山の人達が日の出と夫婦岩のベストショットを撮影しようと、カメラを構えていた
まずは神社に参拝をした
神社を越えてスロープ沿いを歩くと夫婦岩、夫婦岩を越えて更にスロープを歩いて行くと竜宮社がある
竜宮社に行く手前のスロープから、日の出を見た
日の出なんて見るの何年ぶりだろう?
もしかすると十代の頃に父と山登りして見た以来かも知れない
雲が海との境界に一筋あって、そこからゆっくりと朝日が上がっていた
美しかった
私とYさんは竜宮社に向かった
Jさんは確か途中のベンチで休んでいたと思う
早朝の竜宮社に行くと、昨日の夕闇の雰囲気とは違っていた
雰囲気が違うだけでなく、昨日視えた女性の神様の容姿が若干変わっていた
スリムになっている・・・・・
同一人物・・・? 同一人物だな・・・
どういう事なのかよくわからなかったけれど、とりあえずJさんと合流して二見興玉神社でおみくじを引いたりした
Jさんはそのまま旅館の部屋に戻ってしまった
朝食は要らないと言っていた
私とYさんはは近くのコンビニに歩いて行って、コーヒーを買った
Yさんは色々な話をしてくれた
ここは宮家と関係あるのとかこの旅館は造りが変わっていて・・・とか
Yさんは驚くべき記憶力でお話ししてくれる
そして全国の主要な神社や彼の気になる神社にはかなり頻繁に足を運んでいるのが分かった
巫女と審神者
ちょっとお話ししましょう
と海外沿いの歩道に二人で腰を下ろした
目の前には二見の美しい海があった
新鮮な始まったばかりの朝の空気が清々しかった
Yさんは毒舌だけれど気遣いの人なので、すごいなあ、よく気のつく人だなあ・・・と言った内容の話をした
それからその話に一段落した時にYさんが
「昨日の夜Jちゃんを二人で視たの、楽しかったね」
と言った
確かに今までにない感覚だしすごく楽しかった
私はどうしても後ろを視る時にトランス状態になってしまう(白目むくほどではないです・・・)
その時に目の前の人に理解しやすく、視えた「感覚」を言葉に変換して口に出すまでに時間のロスがある
それをYさんが状況を判断して瞬間的に私の発した言葉を整理して相手に伝えてくれるのは、とても頼もしかったし安心できた
Yさんはまるで道標のようだった
女性は一旦身体に取り込む、そしてトランス状態になりやすいという
「俺はそこはそうじゃないんだよね」
とYさんは別の日に話してくれた事があった
私達はまるで巫女と審神者のようだな、と思った
部屋に戻り、朝食を食べた
Jさんはチェックアウトギリギリまで寝かせてあげようという事になった
Drink water
朝食を食べて部屋に戻った
二部屋あるので、もう一部屋は布団部屋にしてJさんが寝ていた
「なんか・・・伊勢(神宮)って感じじゃないのよね・・・」
Yさんがうーん、という感じで呟いた
「私もです」
実はそう思っていた
けど、これは一応人数が少なくなったとはいえ伊勢リトリートなわけだし・・・とも思っていた
「えっやっぱりそう思うの?! じゃどこだと思うの?」
「なんか・・・昨日の魔法陣辺りから龍が次から次へと視えたし・・・龍に関係するとこじゃないですかね」
Yさんは今回の旅の数日前に行った奈良旅行で、魔法陣を広げて龍が現れたと言っていた
昨晩も白いでっかい蛇が出てきたと言っていた
それとずーっと白い狐がこの旅行についてきてくれるという
狐は道先案内の役目なの、と言っていた
「もともと金剛證寺と朝熊山の八大龍王社には行こうと思っているの・・・その他の神社、どこに行く?」
うーん・・・Yさんが持ってきたカードに聞いてみましょうと提案した
お互い気になるカードを三枚ほど引く
それを何度か繰り返した
そうすると、毎回絶対引き当てるカードがあった
「ドリンクウォーター・・・だって」
これはストレスを感じてる時に出るカードよ、と先輩が教えてくれた
解説書を読んで詳細を確かめる
文字通りストレスや疲れで乾きを感じているので水を飲め、という意味もあるけれど
Spend time near an ocean, lake or river. Rainfall is significant. Buy a water purifier.
海の近く、湖や川の近くで過ごしてください
降雨は何かの意味を持ちます
浄化された水を買う事
海の近く・・・川の近く・・・水に関係するところならもう来ている
けれど水に関係する=龍だとなぜかしっかりとした確信を持った
行き先が変更になる
「やっぱり龍に関係するとこだと思います。Jさんに伊勢神宮ではなくて龍に関係ある所でいいか聞いてみましょう」
と自分ではない様なはきはきとした口調でYさんに告げた
昨晩、儀式の後にYさんが「日本の神社」とかいう大きな本を旅館の本棚から借りてきて、
「はいって言ったとこのページを開くからはいって言って」
と指示された
Yさんが大きな本の大きなページをパラパラとめくっていく
「はい」
と声をかけた
開かれたページは
「椿大神社」
という神社を紹介するページだった
初めて聞く名前の神社だった
ご祭神とかその時は全然確認しなかった
そういえば、二見の神社に祀られている神様もあまりちゃんと確認していなかった
このすぐ後に知る事になるのだけれど、椿大神社も二見興玉神社もどちらもご祭神は
猿田彦大神だった
そして椿大神社は
「つばきおおかみやしろ」
と読むらしかった